勇気を出したらファドの奇跡がやってきた。 エヴォラの夜

10月31日より3日間

ポルトガルは、アレンテージョ地方のエヴォラに初めて滞在しました。

この旅でだいぶんポルトガル語の日常会話が多少なりとも

身に付いたわたくし。

駅に着いたらタクシーのおじさんとまずは

世間話を始めるように意識的にしていました。

「エヴォラにはファドがあるの?」と聞くと

「ないよ。残念ながらほかの音楽をみんな聞くようになってしまっている。」

というお答え。

宿泊先のオステルでおろされ周りを見渡す。

今まで、ポルト、コインブラ、ナザレ、オビドスという

土地にしかいってないわたしにとって

第一印象のエヴォラは

「やっぱりなんだか小さい街」という一言。(大きな建物がないのでね)

 

とりあえず、荷物を置いて、街を散策しようと

外に出た。

オステルから斜め左に徒歩30秒。。。。

ん???

 

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Hoje FADO (今日ファドがあるよ)という張り紙が!!

なんと、オステルを出て一番最初に気が付いたおみせがここ!!!(笑)

よ・・・・・呼ばれてる!

夕方観光のあとに、店に寄ってみた。

おそるおそる店内に入ると

常連らしきおじさんがおかみさんと話をしている。

私が

「コンリセンサ~~(すみません)」と話しかけると

二人ともぎょっとした様子。

日本人だからだ。

おじさんが

「何か用なの?」みたいなことを言うので

「私は日本人のファド歌手なのですが、今晩ファドを予約したい。歌いたい」

というと、おかみさんはびっくりした顔をして、半分は疑うように

「ふうん・・・・いいわよ~じゃ、待ってるから!」と言った。

21時のオープンまでオステルで今までの曲を軽く復習。

「よし!エヴォラのファドに挑戦だ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

21時に店に行ってみると、エヴォラ大学の学生が10人くらいで

お店で飲み会を開いている。

飲み会と言っても、日本のそれとちがって一気一気とか

いかにも合コンという感じはしない。

だいぶんと真面目な様相。

なせなら彼らが全員で

「黒マント」を身にまとっているから。。。。

 

とはいえ、

「この若者の前で状私が歌ったら・・・・」の予測がつく。。。

そのほかにはポルトガル人のグループが一組(4名の男女)

あとはギタリストとファディスタらしき男性のみ。

ぽつねんと座る日本人の私。

 

アウェイ感満載・・・・・

 

 

「全員ポルトガル人だよ~~~」ひえ~~~

21時半になるとファドが始まり、男性ファド歌手が場を盛り上げるような歌を

歌った。3曲ほとんどが盛り上がり系。

こうやって最初は場の雰囲気をあたためるという作業と私は見ている。

その男性が3曲のあとおかみさんがこっちに来た。

「あなたもう歌っていいわよ」

 

え?もう??

 

やらないわけにはいかない。

私がここでシリアスなファドをぶちかましたら絶対に学生たちは退くだろうと私は考えて

「マリアリジュボア」を歌った。

ギタリストがうまい!お年の方だけど、確実な音を出している。

 

しかし

 

・・・・・・・すべった

明るく歌いあげたのに、なにかどこか白けたムード。

というか、正直に言おう。

「なぜ日本人がここ(エヴォラ)で歌うの?」というきょとんとしたあきれ顔なのだ。

 

でもそんなの当たり前。

もし仙台で(なぜ仙台なのかは知らない)

私が居酒屋にいて、流しのおじさんがギターを弾いていい感じで歌ってたとして

そこに、ポルトガル人がやってきて

「異邦人」をちょっとだけどうしたってイントネーションの違う発音で歌われても

「流しのおじさんの歌のほうがいい」と思うのはその国の人の

どうしようもない感情だ。

 

今の私は、「まさに」それ。

 

・・・・いかん・・・・・・

私はスイッチを変えた。

「ロウクウラ!」といい

自分が一番好きなシリアスなファドを歌い上げた。

一瞬で場がきりっとなる。

みんな真剣に聞き始めている。

・・・・・よし・・・・・・・・・

こうなってきたときは、

ロウクウラの中でも特に声を伸ばす部分。

その音は、わたしにとって一番得意なキーの音。(ド)

 

思いっきり伸ばして「私の声そのものを聞いてもらおう」と思った。

(マリアリスボアではそれはできない。)

私にとってロウクウラはファドと出会いの一曲で

どこで歌ってもこの8年間の軌跡を思い浮かべることができる大事な曲。

歌い終わったあと、ギタリストさんが納得したようにうなづいたのをしかとみたので

「暗いはしけを日本語と混ぜてやる」と告げる。

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学生たちの目の点の色が変わった。

さっきまでは

「なんで日本人が歌うんだ??」という疑問の点だったのが

「こんなの聞いたことがない~~~~!!!」という純粋に

「驚きと興味とワクワクの表情」になっている。

歌い終わるとみんながこっちをじ~~~~っと熱く見ている。

一人のお客のおじさんが

「信じられない。ポルトガル人じゃないのにファドを歌うの?

そんなことがあるのか???君何してる人?こっちに住んでるんでしょ?」

 

よおし。

・・・・・・・やれるだけやった・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

そのあと私を待っていたのが質問攻めだった。

歌手から。お客から。ママから。

さんざんに

まずは出生場所から、なぜファドをやってるのかを聞かれる。

ちゃんと真面目に答える私。

「6回もポルトガルに来てる。エヴォラに初めてきて、今朝この店をみつけた」

・・・

「もうどんどんやってよ===」ということになり

結局8曲も歌うことになった。

その中にはポルトガル滞在において初めて

歌った曲も2曲!!

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最後は

「シェイラアリジュボア」(リスボンの香り)を大合唱した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

学生たちは帰り際にわたしにあいさつ(ほほとほほと合わせるやつ)を

してくれた。そして

「びっくりした。とっても楽しいし、うれしかった」と感想を笑顔でくれた。

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残ったみなさんとたくさんお話をして、

最後におかみさんにお料理の料金を払おうとした。

すると・・・・

 

「わたしはあなたに感動した。今日はわたしからのおごりよ!!!」と

超笑顔で言ってくれた。

厨房のおばさんも、目が落ちそうに笑っていた。

 

fbで翌日に私が真っ暗な店内で

ロサブランカを歌う動画が流れた。

真っ暗すぎて誰にも見れない動画。

 

そうなんだ。

やっぱりファドはそのときのものでしかない。

でも私はこの日。

そのとき。

そのとき。を

初エヴォラで8曲も味わえた。

知らない土地でもファドがあれば交流できると身をもって知った。

何と言ってもポルトガル人も楽しんでくれる。

 

エヴォラに帰る家を私は見つけたのだった。

 

heart浅井雅子はポルトガルのファドを歌っています。

帰国ライブは11月23日の柏RENTA

から始まります。リスボンで生まれた郷愁のファド。ぜひ聞いてみませんか?

 

浅井雅子ファドHPはこちら↓

浅井雅子の公式website

ライブ日程はこちらでチェックしてくださいね。

 

 

 

 

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ポルトガル大衆音楽ファドを歌い、南国の熱いキューバダンスを踊る。ラテン界のチャレンジャーMACHAKOからの皆様への声とココロとカラダに役立つ情報をお届けしています!

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ABOUTこの記事をかいた人

asaimasako

MACHAKO(浅井雅子)です。ポルトガルの大衆音楽ファド(FADO)を歌っています。 行動力と溢れ出るパワーで生きています。フラメンコ・サンバ・サルサも大好きです。ギターとパーカッション命。好奇心いっぱいに生きてます。