日本人ファド歌手浅井雅子 はじめてのポルトでのファド挑戦 その2)

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前編はこちらです。どうぞ読んでから後編にいらしてね。

日本人ファド歌手浅井雅子・初めてのポルトでのファド挑戦 その1)

 

さて。第一部のファドを終えた私が座った席には、

ファドマニアのおじさんたちがぐるっと私をとり囲み。

「君は本当にファドを歌えるのか?」という

質問攻めがはじまりました。

「サウダーデって知ってる?」

「センチミエントの意味は?」

まさに絵にかいたような、ファドをあらわす単語のオンパレードが

続きます。

 

しかし

サウダーデもセンチミエントも「その言葉の意味は知ってるよ」

でも。そこで「わたし?もちろんわかってるわよ」とは

 

日本人だし、絶対に言えない雰囲気。

それに

そんなふつーの答えをおじさんたちが求めていない。と私は読んだ。

私のとった行動。それは

そのセンチミエントということばを

表情で表し

サウダーデを体の動きで表した。

(どんなだかをどうぞ想像してください!)

「ほ~~~~~~~~」

腕組みし、納得するおじさま方。← そこまでやるか!の顔。

 

そのあと、一人のおじさまが

一枚の小さな紙を取り出してきた。

「これを読んでみなさい」

なんとそれがファドのレトラ(詩)なのである。

読みの特訓????????????????(国語の時間)

私は一生懸命にそれを読んだ。

ところどころ、つっかえるのは仕方ないとしても。

 

最後まで読み切ったときに

おじさんは笑顔で

「これはプレゼントしますよ。とっても有名な詩だから」と言ってくれた。

そのころ、そのテーブルでは、みんなが私の出番をいまかいまかと

待ち構える空気になっていたのだった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ファドの第二部が始まり、

トップバッターのおじさんのいい声の

ファドが終わり、

2番目、3番目、、、

いよいよ私の番がきた。

アリスさんは

「次のファディスタはポルトガル人ではありません。日本の女性です」と紹介する。

その場に漂う雰囲気

「え?まさかさっきのあの日本人が歌うの????」

 

その期待と不安と好奇に彩られた視線の渦の中

私は勇気を出して立ち上がった。

間違いないことがある。

それは

この店で日本人が歌うのは初めてだということだ。

 

ギタリストにあいさつをして私は最初から勝負をすることにした。

もう回り道などしない。

自分が一番自信がある歌をやればいいのだ。

「LOUCURAをReでお願いします。」

私はこの歌だけは絶対に自分を表現し、

自分の今までの8年間を支えていると信じている。

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思いっきり歌い、高音が響いた。

途中の部分で後ろのギタリストから

声が漏れたのを聞いた。

歌い上げたときに、会場は爆発的に大きくうなった。

 

私はここまでファドを聴いてファドの現場にいって学んだことは

歌だけじゃない。

うなるまえの、静かな一瞬が

本物か

それとも

作られたものなのか

を判断する能力。

 

今のこれは、

本物。

 

カウンターの中では、それまで心配そうにしかめっつらで見守っていた(彼女はもともと

こういう顔なのだと知った)

アリスが超かわいい笑顔でこっちをニコニコ見ている。

「よかった~~~~」ホッとするわたし。

 

続けて暗いはしけ。日本語と混ぜて歌うと告げる。

ギタリストさんたちは、すでに笑顔で

「なんでもこい」という感じだ。こういう空気を感じたとき

私には自分に120%の歌のパワーが与えられると感じられるのだ。

日本語部分になったとき、会場の後ろのほうで驚きのような、ちょっとした

「ええ~~~わはは」という感じの笑い声がした。

すると中の人が

「おい!!静かにしろ」と注意してくれる。

すごく一体感のある時間だった。

終わった瞬間にとっても静かなそれがやってきた。

シレンシオ。

 

アリスがめちゃめちゃ笑顔でうなづいている。

さっきのテーブルのおじさんたちも笑顔で大拍手している。

私がファドをみなさんに伝えられた証拠がここにある。

 

やった~========!!!

席に戻ると、隣の席にいた

若いレゲエ風のお兄さんが私に言った。

アメイジング!

私は、2009年に起きた出来事を思い出していた。

あれは今まで私がファドを歌ってきたなかで

一番、感動した出来事。。。。。。。

今、それに近いことが起きている。

 

すべての出演者が終わり、

アリスが総評を話した。

「彼女の歌にはポルトガル人・ポルトガル語への敬意を感じました」

と彼女は話したらしい(あとでおじさんに何を言ったか聞いてみた)。

隣のおじさんは

「日本でプロで活動しているんだね。君は、歌手としての声を持っているんだ・・・・それがよくわかった。

ファドは声だよ。声を持っているかどうかだけ」と

言ってくれた。

みんながたくさんあたたかい拍手をくれて

後ろの席のレゲエのお兄さんは

「僕はこの人のこの歌が大好きだ!!」とまたしても言っている。

 

すべてが終了し、お世話押してくれたおじいさんやおじさんにあいさつをしていると

一人のファディスタのおじさんが連絡先を聞いてきたので

facebookでつながることにした。

 

その後日の感想がこれである。

HOJE FUI À ADEGA RIO DOURO
PETISCAR BONS PETISCOS NA CASA MAIS ANTIGA DE FADO VADIO DA CIDADE DO PORTO
ENCONTREI-ME COM AMIGOS DE LONGA DATA
TIVE O PRAZER DE CONHECER E OUVIR CANTAR A FADISTA JAPONESA MASAKO ASAI COM MUITO AGRADO.
8 de Novembro de 2016

私は日本人ファド歌手浅井雅子のファドをきき、喜びを感じました。(というような意味)

そのほかにも

「日本人の女性が美しいポルトガル語と日本語で歌うファドを聴いた」

という言葉が数日タイムラインに流れ続けた。

 Fui e gostei de conhecer um Japonesa a cantar fado e bem á maneira dela. Um abraço

日本人の彼女のファドへの取り組み方?が好きでした(というような意味。)

帰りはギタリストさんがなんと~車でホテルまで送ってくださり。

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帰ってから、ミスターファドからとこのお店につながるに至ったサルサのおじさんから

「おめでとう!君の成功を聞いたよ。よかったよかった」

という同じ内容のメールが届き。

お店で私の歌を聞いていた(私は話していない)人からfacebookで申請が届き。

動画が送られ。。。。

 

10代と思わしきかわいい女性から

「あなたの歌が大好き」と申請が来て♡ (なにげに一番うれしい)

 

「つぎは、ヴァディオではなく

プロのファド歌手がいる場所にあなたを連れていくので早く

ポルトに帰ってきなさい。」

という次の目標に向かわせるメールがファディスタから届いた。

私は、今までいろいろな場所で歌ってきたけれど、

ここまで終わってからの反応が強いのは

 

このポルトが初めてのことだった。

 

でも私が一番うれしいのは

そういうことではない。

私はうれしいのは、これだ。

そこに居合わせたポルトガル人にとって私のファドが

楽しく・嬉しく・聴いてて幸せになれるものになっていること。

なのである。

 

日本人の自分がファドでできることは、

それが最大にして、最高のことだと自分は思っている。

ただこのままずうっと続けていって、ポルトガル語が上手に発音でき、

上手に音程が歌えて日本人なのに・・・と感心をされることが私の幸せではまったくないのである。

感動を与えて幸せな気分を味わってほしい。そういう声を持ちたい。

そういう歌手でいたい。

 

その方向をしっかりとつかんだポルトだった。

みなさん。

 

本当にありがとうございました!!

 

充実した初めてのポルト滞在は、

やはりファドがあってこその私。

 

★ポルトガルでのファド体験記はまだまだこのあとも続きます!

 

heart浅井雅子はポルトガルのファドを歌っています。

次回ライブは12月2日の鎌倉ドルェファールニエンテさん

リスボンで生まれた郷愁のファド。ぜひ聞いてみませんか?

 

浅井雅子ファドHPはこちら↓

浅井雅子の公式website

ライブ日程はこちらでチェックしてくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ポルトガル大衆音楽ファドを歌い、南国の熱いキューバダンスを踊る。ラテン界のチャレンジャーMACHAKOからの皆様への声とココロとカラダに役立つ情報をお届けしています!

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ABOUTこの記事をかいた人

asaimasako

MACHAKO(浅井雅子)です。ポルトガルの大衆音楽ファド(FADO)を歌っています。 行動力と溢れ出るパワーで生きています。フラメンコ・サンバ・サルサも大好きです。ギターとパーカッション命。好奇心いっぱいに生きてます。