人生の十八番を歌いあげよう 「第1夜〜2年間歌えなかったファド〜」

 

ファドを歌うようになって10年目に入りました。
そこでここからしばらくは、わたしのファドの歌唱への挑戦での
少しばかり苦労したお話をしていこうと思い、
数日連続で、お届けいたします。

わたしは、はじめてのポルトガル(2008年秋)では3曲のみ
メモにファドの題名とキーを描いたものを握りしめて
毎夜、ファド酒場を歩きながら歌う場所を探し、ギタリストさんや、
お店の方と直接にたった一人で交流しながら毎日歌っていきました。

年々、歌える曲が増えて
今では50曲近い歌を歌えるようになりました。

その中で、もっとも苦労した曲の1つが
こちらです。

O gente da minha terra 🌏 
わたしの故郷の人々という歌です。

 

こちらは先日の四谷3丁目カサアルティスタでの歌唱です。

毎回違う感情が湧き上がるため、歌い方がいつも違います。

http://asia.vivavideo.tv/v/Ia624If/1/

この歌は、音程の幅が本当に広い上、
大きな世界観と、ポルトガル人そのものを
歌っていることもあって、

日本人のわたしが歌うと
いう部分でも難しかったですし、
テクニック的にも追いつけず、

なんと歌えるようになるまで
2年近くかかったと思います。

わたしはファドを歌唱として
先生について習っては、いないので、
独学で歌えるまで
なかなか、どころか

とっても手強かったです。

 

けれど今となっては

先生につかなかったことがわたしの唯一の方法を編み出したとも言えることに気がつきました。

そして、2010年にようやく自分なりには、なんとか歌えるようになった頃、
この歌を歌うには、今までの歌唱方法では全くダメだと新たな点に気がつきました。

この曲どころか、わたしの発声方法では
現地のギタリストが4人も集まって生音で

ガッツリと弾かれてしまっては
声がまずは、前に通らないのです。

その後、わたしはリスボンにいるファド歌手の中において
体全体で声を鳴らし、決して

裏声には逃げない、声楽的ではない、
真っ向勝負の声が響くファディスタを
注意して見ていくようにしました。

 

魂が剥き出しの裸のような精神で歌っている

レニータジェンティルは、まさにわたしのなかでは憧れのファディスタでした。

 

もともとファドはビブラートを使わないと言われている歌なのだそうですが
実際は、地声だけで対応するには、キーが高い曲もあります。

かといってどこかの決まった音になると
「必ず裏声になるような歌い方」では、
あまりにも
力強さが減ってしまうんです。

さらに、日本でわたしはたった一人でファドライブでは15曲くらい歌うため、
「同じような発声方法だけで十何曲ともなると
お客様にとっては、間違いなく、物足りないものになる」のがわかってきました。

なぜなら
ファドは基本的にマイクを使わないため
「マイクを使ってのテクニック」が全く使えないのです。

その中でライブのラスト近くに毎回この
「故郷の人々」を歌うことで、わたしは

最後まで絶対に気を抜かず一番難しい歌を歌うことで
モチベーションをどんどんとあげていたのです。

この歌で出さねばならないのは
「ダイナミクスと美しく力強い、まっすぐな声」

それをわたしは自分の中で

「ストレートボイス」と呼ぶようになりました。

そしてそれをポルトガルの現地で手に入れたわたしには
声の変化と
進化がどんどんと起きていったのです。

(続く)

 

★今日のチャレンジ★

無理めな曲こそが人生の十八番になるんです。

私のストレートボイス誕生秘話続きをお楽しみにね!

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ABOUTこの記事をかいた人

asaimasako

MACHAKO(浅井雅子)です。ポルトガルの大衆音楽ファド(FADO)を歌っています。 行動力と溢れ出るパワーで生きています。フラメンコ・サンバ・サルサも大好きです。ギターとパーカッション命。好奇心いっぱいに生きてます。